今回は2024年5月より開始されるUber ダイレクトの3PL(サードパーティ・ロジスティクス)配達について紹介していきます。
3PLの仕組み・仕様から、3PL配達のメリット・デメリット・今後の展望などについて解説していきます。
3PLの仕組み・仕様
ここでは3PLの仕組み・仕様について解説していきます。
3PL配達とは
まず、3PLとは3rd(サード) ・Party(パーティー)・Logistics(ロジスティックス)の略語となります。
尚、本記事では 以後 サードパーティ・ロジスティクスを3PLという略称で話を進めていきます。
そして、ここではサードパーティ・ロジスティクス(3PL)の概要について解説してきますが、まずはUberから通知された内容を見ていきます。
3PLとは、専門的な物流ノウハウを持つ第三者企業が、荷主企業に代わって、効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、物流業務を包括的に受託する業務形態を指します。
Uberにおける3PL配達とは、上記のような物流を担う専門事業者から依頼される即日配達サービスを意味します。
3PLとはUber Direct(ウーバーダイレクト)のサービスの1つで、他社が請け負った商品をUber Eatsが代行して配達するサービスとなります。
Uberダイレクトとは、ECサイト(ネット通販サイト)で購入した商品の配送をUber Eats配達パートナーが行うというもので、注文者はUber Eatsではなく各社が運営するサイトから注文する形となります。
具体例として、マックデリバリー・7Now(セブンナウ)などのサービスが挙げられます。
要するにUber Eats以外の他社で注文された商品を、Uber Eatsの配達パートナーが運ぶサービスであり、配達パートナーからすれば根本的な部分は既存のUber Eatsの配達と同じとなります。
開始日・開始エリア
3PL配達は2024年5月14日より開始されます。
開始直後は都内1店舗のみでの試験運用となっており、本格的な開始には まだ時間がかかる模様です。
どの店舗で開始されるかは不明ですが、噂では某大手宅配業者だとか…
3PL配達の特徴
3PL配達は以下の特徴があります。
次から上記の特徴について個別に解説していきます。
最大14件同時配達
3PL配達では1度の配達で最大14件の配達依頼を同時に受諾することが可能です。
これまでの配達では最大3件でしたが、3PLの場合は従来の4倍近い配達依頼を同時にこなすこととなります。
1点注意して欲しいのは、最大14件はあくまでUberダイレクトの3PLのみが対象であり、Uber Eatsで注文した商品についてはこれまでと同様に 1度の配達で最大3件となります。
ピックアップは1カ所のみ
3PL配達における商品受取に行く店舗は1度の配達で1カ所のみとなっています。
このことから、届け先が10件超えようとも 既存のマルチピックアップのように複数の店舗を回って商品を受け取る必要はありません。
仮に10件配達案件をUberでお馴染みの略語にするのであれば「PDDDDDDDDDD」ということになります(笑)
バーコードスキャンが必要
3PL配達では商品の受け取り時及びお届け時にバーコードスキャン認証を求められることがあります。
Uber Driverアプリで認証を求められた場合のみバーコードスキャン認証が必要となるとのことなので、毎回必ずバーコードスキャンするわけではなさそうです。
1点注意して欲しいのは、既存のUber Eatsだとバーコードスキャンは商品受け取り時のみとなっていますが、3PLでは注文者に商品を渡す直前にもバーコードスキャンがあることです。
基本的にUberDriverアプリ側で全て指示してくれるので特別意識する必要はありませんが、こういう仕様であるということだけはお忘れなく。
尚、ここで言うバーコードスキャンとは すでにUber Eatsで導入されているQRコードに類似したシステムとなるので、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
引き渡し時は署名が必要
3PL配達では配送依頼主からの要請で 商品を渡す際に注文者の署名を求められることがあります。
署名が必要となるのは配送依頼主から要請があった場合のみであり、毎回必ず署名が必要となるわけではありません。
ちなみに署名はUber Driverアプリ上で簡単に実施できるため、配達パートナーは別途ペンなどを用意する必要はありません。
尚、商品引き渡し時における注文者の署名については、少しサービスは異なりますが処方箋薬配達にてすでに導入されており、詳しい内容は以下の記事にて解説しているので 気になる方はこちらもご参照ください。
返送配送の対象
3PL配達では届け先に商品を配達できなったか場合、発送元の店舗に商品を返却依頼されることがあります。
基本的にUber Eats配達において商品を配達できなかった場合は廃棄処理となりますが、3PLを含むUberダイレクトでは発送元の店舗に返却するのが基本となります。
仮に返送が必要となった場合は別途 返送に要する配達報酬が支払われることになります。
受諾後のキャンセルが可能
3PL配達は通常のUber Eats配達と同様に受諾後の案件をキャンセルすることが可能です。
十数件の案件を受諾した際に「この荷物は大きすぎて積むことができない…」という場合は、その案件だけをピンポイントでキャンセルすることも可能です。
ちなみに受諾後のキャンセルができるということは「行きたく届け先の案件もキャンセルできるのでは」と思われる方もいるかもしれませんが、現在のUberのシステムでは それは現実的にはできないかと。
3件・4件ぐらいの案件であればピンポイントで行きたくない届け先と届ける商品を紐づけることが可能ですが、十数件となれば かなり至難の業となります。
リクエスト通知段階で、行きたくない届け先を絞り出すことと、その届け先が何番目の配達かを把握することを通知している間に判別しなくてはいけません。
そう考えると、3PL案件を受諾するからには行きたくない届け先にも行く可能性があることを覚悟するしかないかと。
軽貨物のみが対象?
これは私の憶測となりますが、3PL配達は最大14件配達可能ということから自転車・バイクでは現実的に無理があり、実質 軽貨物(軽自動車)ドライバー専用のサービスなのではないでしょうか。
配達対象物がどんなものかについては後述しますが、現状の最大3件運ぶにしても自転車・バイクでは厳しいこともあり、それ以上となれば もはや軽貨物でしか対応できないかと。
あと、もう1つ軽貨物のみが対象と思った要因があり、それが新規配達パートナー登録時の紹介料です。
上記紹介料は3PLが発表される直前の2024年4月24日に通知されたものとなりますが、軽自動車の紹介料が3万円となっています。
他の配達車両に比べて紹介料が高いということは、それだけUber側が必要としている証拠でもあります。
単に軽貨物ドライバーが少ないだけの理由かもしれませんが、今回の3PL配達の発表と時期が重複していることから 3PLは軽貨物オンリーになるのではないでしょうか。
ただ、3PLは軽貨物ドライバーにしか割り振られないかと言うとそうでもなく、将来的に3PLサービスが拡充すれば自転車・バイクにも3PL案件が回ってくる可能性があります。
封筒やポストに投函できる荷物であれば自転車・バイクでも大量に運ぶことが可能で、これらの商品の運送を取り扱う企業とUberが提携すれば十分にあり得るのかと。
3PLの配達対象商品とは
現時点では、3PL配達の対象となる店舗情報は公表されておらず 何を運ぶかは判明していませんが、Uber Eatsから3PLに関して以下の通知内容がありました。
ほとんどの商品は完全包装されているため、食事や生鮮食品の注文に比べ、商品破損のリスクが低く、より安心して配達できます。
上記内容から察するに配達する商品は、これまでのUber Eatsで主流だった料理ではなく、日用品や小物家電といった鮮度を気にする必要がない物になるのではないでしょうか。
更に、3PLの対象店舗と噂されている某大手宅配業者が普段配達している物とも一致し、いよいよをもって宅配業者の配達案件をUberが代行することが濃厚になったのではないでしょうか。
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3PLのメリット・デメリット
ここでは配達パートナーにとっての3PL配達のメリット・デメリットについて解説していきます。
メリット
3PL配達のメリットは「クエストが達成しやすくなる」「全体の配達依頼が増える」ことです。
「クエストが達成しやすくなる」メリットについては説明不要かと思いますが、最大14件同時配達ということで1件受諾するだけで一気に配達件数が稼げることになります。
1度に十数件配達となれば当然時間もかかるわけですが、それでも1店舗から商品回収を済ませば立て続けに十数件配達できるので、1件ずつこなすよりも遥かに速く終わるのではないでしょうか。
そうなればクエスト達成も、これまでよりも遥かに楽になります。
ただ、このメリットはあくまで配達回数をこなすことで追加報酬が発生するクエストがあるエリアのみの話となるので、クエストが無いエリアでは 配達件数が稼ぎやすくなることはメリットにはなりません…
そして、もう1つのメリットである「全体の配達依頼が増える」については、3PLの配達依頼が追加されることでUber Eatsとしての配達依頼が増えるという見方になります。
3PLの対象店舗が現状不明確ですが、配送対象商品は従来のものとは異なる性質の物である可能性が高いことから、まったく新しい配達需要が生まれることが予想されます。
そうなればUber Eats配達パートナーが請け負う案件の全体数が増え、結果的に配達依頼が増えるということなります。
仮に3PLが軽貨物ドライバー専用だとしても、軽貨物配達パートナーが3PL配達案件を受諾したことによって あぶれた他の案件がバイク・自転車の配達パートナーに回ってくる可能性もあります。
それらのことを考慮すると、3PLの導入はUber Eatsの全配達パートナーにとって喜ばしいことではないでしょうか。
デメリット
3PL配達のデメリットは配達効率が悪くなる可能性があることです。
ここで言う配達効率とは配達に要する時間に対しての配達報酬のことであり、時給という意味となります。
では何故配達効率が悪くなるかと言うと、3PL配達時の各作業の手間が多いからです。
各作業の手間とは『3PL配達の特徴』でも解説した「バーコードスキャン」「署名」「返送配送」で、この中で特に返送配送が厄介かと思っています。
3PLの配達商品は即日配達の物が対象ということで、基本的には注文者はその日に配達依頼しているわけですが、従来の料理の注文に比べて注文者の不在率が高くなるのではないでしょうか。
もちろん返送配達時も報酬がでるので、場合によっては返送配達になって良かったということもあり得ますが、返送配達報酬次第では無駄に時間と燃費を食ってしまった…ということになりかねません。
それと、個人的にもっとも手間が増えると思われるのが 商品の受取作業です。
仮に最大14件の配達をするとなると、最低でも14個の袋・箱があるわけで これを一度に荷台に運ぶのは不可能で、店舗と車両を往復する必要があります。
店舗のすぐ横に車両を停めれれば、それほど手間になりませんが、店舗から遠くなってしまうと商品を受け取るだけでも大変です…
更に商品1つ1つがそれなりのサイズ・重量があるものであったことを考えると かなりの重労働になってしまいます…
こうしたことを考えると、今後3PLが普及してきたら 台車が必須アイテムになってくるかもしれません。
ちなみに台車でおすすめなのが以下のトラスコ中山の製品です。
上の台車は私自身が前の職場で愛用していたのですが、移動がスムーズで 台車自体も軽いという非常に使いやすい製品となっているので、今後3PLが普及した際のお供にいかがでしょうか。
話が少し脱線しましたが、これらの各作業の手間があることを考慮すると 3PLが配達報酬に見合う案件なのか怪しくも思えます。
特に昨今のUber Eatsの報酬を見るからに各種手間は考慮されず純粋に移動距離だけで報酬が設定される可能性が高いかと。
とにかく、これまで以上に適切か否かの見極めが重要になるのではないでしょうか。
3PL配達の今後の展望
3PL配達は、まずは都内1店舗ということで しばらくは人知れずひっそりとサービス展開していくのかと。
ただ、昨今の運送事情を考慮すると 今後3PLが発展する可能は十分に考えられます。
というのも運送業界では運送2024年問題による影響で人手不足が深刻化しており、他社の配達代行は その問題を解決する糸口にもなり得ます。
3PLの対象となる企業が噂されている某大手宅配業者であるとすると、3PL施策がうまくいけば今後他社の宅配業者との提携も考えられます。
将来的に大手通販サイトAmazonとの連携があれば、Uber Eats配達パートナーがAmazon商品を配達する なんてこともあるのかもしれません。
とにかく、3PLの今後の展開には期待したいところです。
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