foodpanda(フードパンダ) 日本撤退の理由

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日本時間の2021年12月23日に「foodpanda(フードパンダ)が日本を撤退」というフードデリバリー業界を震撼させるニュースがあったので、今回はfoodpandaが何故日本から撤退することになってしまったのかをフードデリバリー配達員としての視点も交えながら解説していきます。

目次

報道内容

まずは今回のfoodpanda日本撤退についての報道された以下の内容を見ていきましょう。

デリバリーサービス「foodpanda(フードパンダ)」の親会社であるドイツ デリバリーヒーロー(Delivery Hero)は22日(ドイツ現地時間)、foodpanda Japanのビジネスを2022年第1四半期を目処に売却すると発表した。

Delivery Heroでは、ドイツのフードパンダの事業縮小とともに、日本事業の売却を発表。リソースを、他の市場や新分野、特にクイックコマースにおける成長機会にシフトするという。

上記の報道の段階では「日本事業の売却を発表」ということで今後の他社が事業を買い取ってサービスを継続する可能性もあるかに見えました。

しかし、報道からしばらくして、foodpandaから各ライダー(配達員)宛にに今回の報道に関するメールが届き、その内容が以下になります。

この度、Delivery Hero SEの子会社であるDelivery Hero Japan株式会社は、foodpandaの日本国内のサービスを終了するという苦渋の決断を致しましたことをご報告致します。

foodpandaの最終サービス提供日は、2022年1月31日を予定しております。ライダーの皆様への最終的なお支払いは速やかに進めさせていただきます。
(メール本文の一部を抜粋)

foodpandaの最終サービス提供日は、2022年1月31日を予定しております。ライダーの皆様への最終的なお支払いは速やかに進めさせていただきます。
(メール本文の一部を抜粋)

上記の内容からわかるように日本のfoodpandaのサービスは2022年1月31日で終了する予定とのことで、先日のwolt買収に続き また日本で一つのフードデリバリーがなくなることとなりました。

では何故foodpandaはサービス終了になったのかを次に見ていきたいと思います。

foodpanda撤退の理由

ここではfoodpandaとはどういった会社だったのか、何故サービスを終了することになってしまったのかなどの撤退に至るまでの経緯・原因を解説していきます。

foodpandaとは


日本撤退理由を解説する前にまずはfoodpandaというの会社の概要からお話していきます。

foodpanda(フードパンダ)はドイツ デリバリーヒーロー(Delivery Hero)の子会社であり、飲食店のデリバリーのほか、食品・飲料や生活必需品などにも対応した「q-コマース」を特徴とした事業展開をおこない、日本での展開エリアは横浜、札幌、名古屋、神戸、広島、福岡、大阪、さいたま、川崎、北九州、京都、浜松、岡山、鹿児島、仙台、静岡、堺、千葉、船橋、姫路、川口、東京、岐阜、熊本、松山、大分、金沢、高松、宇都宮などなっており、上記のエリア在住の方であれば街中でfoodpandaのバッグを一度は見かけたのではないでしょうか。

そして、2021年4月には同じフードデリバリーの「FOODNEKO」とサービス統合し(FOODNEKOブランドは消滅しfoodpandaに統合)さらに事業を拡大していきました。

しかし、一見 好調に見えたかと思いきや 日本上陸から約1年半での撤退という結末を迎えてしまいました。

foodpandaの仕組み

ここではfoodpandaライダー(配達員)に登録している私の視点も交えて、foodpandaの配達員のシステムについて解説していきます。

まずfoodpanda配達員の特徴は以下となります。

foodpanda配達員の特徴
  • 配達員は業務委託契約
  • 業務実績に応じたランク制度
  • 配達業務はシフト制
  • 最低賃金が保証されてい

まず配達員の雇用形態が業務委託契約であることはUberEatsを始め日本で展開しているフードデリバリーでは一般的となっているので特別珍しいことではありません。

特筆すべきなのはランク制度シフト制の2点になります。

まずランク制度について解説しますが、foodpandaでは稼働実績に応じて各配達員へランクが割り振られ、ランクアップすると配達報酬が増えたり 後述するシフト予約が優先的にできたりと特典があり、ランク決定の細かな基準等は省略しますがより多くfoodpandaで配達すればランクが上がる仕組みとなっていました。

そして特筆すべきもう1点のシフト制については、foodpandaでは事前に自分が業務するエリアのシフトを予約する必要があります、シフトの各時間帯・エリアには定員があり、定員に達するとシフトを取ることができません。

シフト予約はランクが高い配達員が先行で取れる仕組みとなっており、始めたての人は先行予約で残った分かキャンセル待ちするしかないという新規参入者には少し厳しいシステムとなっていました。

ただこのシフト予約でランクが高い配達員が優遇されることについては個人的に賛成で、新規参入者も最初は大変なものの何とかシフトを取って業務をこなしていけば、先行して予約が取れるようになるわけで普段からfoodpandaで配達業務をしている人を優遇することは決して悪くないと思われます。

そして、これもある意味特筆すべき点なのですが、foodpandaには最低賃金保証があり、配達業務で注文依頼が少なかった等の理由で報酬が時給1000円未満になってしまった場合は時給1000円の保証がつきます。
この最低賃金保証があることにより、フードデリバリー業務の欠点とも言える「注文がないため報酬が発生しない」問題を解消できるようになりました。

しかしながらこの最低賃金保証については2021年に各地で続々と廃止になり最終的に最低賃金がなくなる形となってしまいました…

報道された撤退理由

では何故 今回日本でのサービス撤退に至ったのか、まずは今回の報道で記載されていた撤退理由を見ていきましょう

ドイツでは、2021年夏にフードパンダのサービスをベルリンで開始し、すぐに他の都市にも事業を拡大した。

しかし、プレイヤー数の増加やライダーの不足などといった課題が年末に向けて顕在化したことから、ベルリン中心部以外のすべての事業縮小を決定。同様の状況が日本でも起きていることから、日本法人の売却を決めた。

上記のプレイヤーというは需要(注文者)のことを示していると思うのですが、上記の内容を見る限り需要はあったもののそれをさばききれるだけの配達員がいなかったために利益を上げることができなかったという感じでしょうか。

「日本でもドイツと同様の状況が起きていることから」という報道内容から、ドイツも日本も配達員不足が撤退理由の一つではないかとうかがえます。

そして別の報道内容ではfoodpandaから以下のコメントがありました。

日本市場での競合環境が著しく変化し、他社の参入増加したことや配達員の安定確保が困難になったことで、今後のビジネスに大きな影響を及ぼした

上記の内容だと他社との競争に負けてしまったこと、そして「配達員の安定確保が困難」というのは十分な配達員を稼働させることができなかったということになり、こちらも配達員不足が撤退理由の一つであることがうかがえます。

さてここまでは報道されたいわゆる表面上の話となるわけですが、撤退に至った本当の理由はなんだったのでしょうか。

その本当の理由について次の項目で解説していきます。

本当の撤退理由

さて、ここからは実際のfoodpandaライダー(配達員)の声、そしてフードデリバリー配達員である私自身の憶測を交えて、foodpandaが日本撤退に至った本当の理由について考察していきます。
(以下の内容は一部私の憶測が含まれることをご了承ください)

まずfoodpanda日本撤退の大きな理由として「注文数の少なさ」「配達員の満足度の低下」の2つではないかと思い、それぞれの理由について細かく解説していきます。

・注文数の少なさ

注文が少なく要因としては「加盟店が少ない」「顧客からの注文が少ない」という理由があり、私自身foodpanda加盟店の実数はわかりませんがUberEats配達中にピックアップで行く店にUberEats・出前館のシールが貼ってはあるもののfoodpandaのシールを見かける機会は非常に少なく、加盟店が少ないのでは?というのは感じました。
(もちろんfoodpandaのみ取り扱っている店舗もあるでしょうけど、大手飲食店でそういった所は全然聞かなかったような…)

加盟店を増やすというのはどのフードデリバリー会社でも最重要課題ではないかと思っているのですが、もう少し長い期間サービスが継続でき その間に加盟店をもっと増やすことができていたなら今回のようなことにはならなかったのではないかと個人的に思っています。

また、私はfoodpandaサービス展開エリアの東京に在住していますが、「foodpandaって東京でサービスしてるの?」と感じるぐらいプロモーション・キャンペーンが少なく感じられました。

どんなにいいサービスを提供していようともそれを周りに知ってもらわないことには誰も利用してくれません。

同じエリアで展開しているフードデリバリー他社と比べての注文数はどのくらいだったかわかりませんが、実際にfoodpandaで配達していた人達の話ではリクエスト通知(注文依頼)が少ないという声が多く、UberEats・出前館に比べると圧倒的に注文数が少なかったのではないかとうかがえます。

注文数が少なくなれば当然売り上げが落ち、結果的に利益も減ってくるわけですが、それによってもう一つの撤退理由となった「配達員の満足度を低下させる」という事象を誘発してしまい、これについては次の項目で解説していきます。

・配達員の満足度の低下

実のところがこれが日本撤退の最大の要因ではないかと個人的には強く思っているのですが、結局のところ配達員の不満が募り その結果 配達員が少なくなり注文がさばききれなくなり 顧客側からしてみて注文しても商品が届かないという悪循環が発生し、結果利益確保が難しくなったのではないかと予想しています。

では何故 配達員の満足度が低下してしまったのかについて解説していきますが、その要因として以下の3点が挙げられます。

リクエスト通知(注文依頼)の少なさ

まず1つ目の理由は上記の「注文数の少なさ」でも書きましたが注文数が少ないことにより配達員へのリクエスト通知(注文依頼)が減ったことです。

配達員としてはリクエスト通知がなければ報酬も発生しないわけで、どんなに報酬単価が良くてもリクエスト通知がまったくこなければ配達員の満足度も落ちますし、逆に報酬単価が安かったとしてもリクエスト通知が頻繁に来る状況なら配達員の満足度も極端に落ちることはありません。

そしてそういったリクエスト通知での配達員の満足度を下げないための手段として最低賃金保証制度があったと思うのですが、結局それは廃止になり それにより配達員の満足度は大きく低下したものと思われます。

アプリの使い勝手

次に配達員の満足度低下の2つ目の理由としてあげられるのがアプリの使いにくさです。

配達員からはfoodpandaの配達アプリが使いづらいという声が多数聞かれ、配達する側からすればアプリが使いにくいというのは満足度低下に直結します。

実際私もfoodpandaに登録していたわけですが、まずアプリをダウンロードすること自体がとっつきにくく アプリストアで見つからずウェブサイト経由でダウンロードする必要があり、アプリを無事インストールしたあともアプリを立ち上げるとエラーなど発生し、UI(ユーザーインターフェイス)もお世辞でも使いやすい・見やすいと言えるものではありませんでした。

配達員からしてこうだったので、もしかすると顧客側ので注文アプリも使いづらかったかもしれません。
(まーこの辺は実際に使ってみないとわからないところではありますが)

配達員への配慮

そして最後の3つ目の理由としてあげられるのが配達員をないがしろにしたことです。

これは私の憶測がかなり入っているので不確定な部分も多いのですが、foodpanda配達員からはピックアップ時に店舗で調理待ちを受ける頻度が多いという声が以前からよく聞かれていました。

実際に配達をした方になら分かると思いますが、店舗到着後の調理待ちは結構なストレスになります。
たまに調理待ちに遭遇するということならまだしも毎回そんなことが発生するようなら、その店舗には二度と行きたくない ひいてはそれを頻発させるフードデリバリー会社では配達したくない!ということにも繋がりかねません。

そして、そんな料理遅延を発生させる原因を作っているのはfoodpandaの配達システムに他なりません。
私自身具体的なシステムについては把握していないので、料理遅延を発生させる具体的な理由については解説できませんが、調理遅延が発生するという声は本部側にも当然多数届いていたでしょうし その意見を真摯に受け止めず対応しなかった結果 配達員満足度が下がってしまったと

また、一説ではfoodpandaの営業が加盟店に「配達員はいくらでも待たせてもよい」と言っていたことを店舗の人から聞いたという報告もあったそうで、百歩譲って配達員を多少こき使うのいいとしても、調理待ちは配達員だけではなく顧客も待たされることになり、それが事実であれば配達員どころか顧客もないがいしろにして自社(foodpanda)と店舗のことだけしか考えていなかったことになり、今回の状況になってしまったのも当然の報いではないかと思わざる得ません。

余談ですがサポートの対応が悪いという声も多々聞かれていました。

これ以外にも配達員からは細かい不満が多々あったわけで、どれか一つの不満だけであったり 不満が複数あってもそれを補えるメリットがあれば満足度低下を避けれるわけですが、foodpandaの場合は配達員のことを大事に思っていなかったのか満足度低下の要因が重なりに重なって放置してしまった結果、配達員離れが加速して 報道内容でもあった「配達員の安定確保が困難」に繋がり今回の日本撤退に至ったのではないかと思っております。

今後の日本のフードデリバリー事業展開について

さて今回のfoodpandaの日本撤退により、日本から また一つのフードデリバリーが無くなってしまったわけですが、今回の件はfoodpanda配達員に限らず すべてのフードデリバリー配達員にとっては打撃を受ける結果となりました。

というのもフードデリバリー会社が減るということは、企業間の競争がなくなるということで、それは顧客(注文者)のみならず配達員にとってもよろしくない状況になります。

分かりやすく例えるとすれば、仮にUberEatsの1強になってしまった場合、UberEatsが配達報酬をスリコ(300円)で統一したとすると当然配達員から不満の声が上がります。
しかしながらフードデリバリーが1社しかない状況であれば、フードデリバリーを仕事としている人達はUberEatsで働かざる得ません。

逆にフードデリバリー数社のサービスが拮抗している状況であれば、UberEatsに不満があれば他社で配達するという選択肢も出てくるので、UberEats側もある程度配達員の満足度を考慮する必要が出てきて報酬単価減の抑制にもなります。

そして個人的な予想としては、残念なことに今後もフードデリバリー会社の撤退・合併・買収が加速すると思われます。

その最有力候補がmenu(メニュー)であると思っていて、現在の配達員の不満度はかなり増しており、配達員の満足度の問題以前にリクエスト通知(配達依頼)が少なすぎることから本当に会社として利益が上がっているのか?という不安もあり、私の予想では2022年には何らかの大きな動きがあると思われます。

そして次に心配なのは出前館で今は送料無料キャンペーン、配達員への高い報酬で活気づいていますが、これも一時的なもので このまま配達の根本的なシステムを変えない限りいずれ調達資金も尽きてサービス終了してしまうことは明らかです。

ただ出前館については噂では近々配達システムを変えるという噂もあるのでUberEatsの1強にならないためにも出前館にも頑張ってほしいところです。

上記の2社が何故 今後 撤退・合併・買収されるかの詳細理由については別途機会があれば解説していこうと思います。

とにかく、いちフードデリバリー配達員として、今後フードデリバリー会社が減ってしまうことはマイナスであり、できることならどのフードデリバリー会社にも より一層の発展を望むわけで、自社の利益・顧客満足度は当然重視すべきことではありますがそれらを繋ぎとめているのは配達員であり、使い捨てる程の配達員がいようとも その配達員をないがしろにするのではなく、自社・顧客・配達員のみなが満足できるwin-win-winの関係を築いてもらえればと思います。

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