今回はフードデリバリー配達員向けに、青白申告するために必要な申請の方法を解説していきます。
Uber Eatsをはじめ出前館・Wolt・menuなどで配達をやり始めた方・以前から配達していたが まだ青色申告の申請をしていないという方は必見です。
- 青色申告のメリット・デメリット
- 青色申告の申請期限
- 青色申告の申請に必要なもの
- 青色申告の申請方法
青色申告のメリット・デメリット
ここでは青色申告のメリット・デメリットを紹介していきます。
青色申告のメリット
青色申告のメリットは以下となります。
- 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 30万円未満の経費は一括計上できる
青色申告の最大のメリットは何といっても最大で65万円の特別控除が受けられる点です。
特別控除を受けるための条件は後述しますが、特別控除は65万円・55万円・10万円とあり、いずれにせよ白色申告よりも基本的には控除額が増えるために青色申告をやらない手はありません。
そして、もう一つのメリットは「少額減価償却資産の特例」により30万円未満の経費は一括計上できる点で、減価償却の処理は必要になるものの1年で完了させることができます。
所得額によっては減価償却した方が良いこともあるので減価償却しないことが完全なメリットとは言えませんが、減価償却するかしないかは選択可能なので、所得額に応じて減価償却するか否かを選択することができます。
以上が青色申告のメリットとなります。
これ以外にも青色申告のメリットはありますが、本記事はフードデリバリーに関する青色申告について絞って解説していくので その他のメリットについては省略させて頂きます。
青色申告のデメリット
青色申告のデメリットは以下となります。
- 申請書の提出が必要
- 申告手続きが複雑
青色申告は白色申告と違って誰にでも出来るわけではなく事前に青色申告申請手続きが必要となります。
申請自体はそれほど手間はかかりませんが、申請する時期によっては青色申告が適用されるまでにかなりの期間を要することになります。
そして、青色申告の最大のデメリットは申告手続きが複雑であることで、申告するには簿記や会計の知識が必要になります。
どのくらい複雑かは実際に青色申告してみないと分からないわけですが、個人的な体感として白色申告の5倍~10倍ぐらい手間がかかる印象です。
5~10倍はあくまで私個人の見解なので、人のよっては「全然楽だった」もしくは「10倍どころでは済まなかった」と感じ方も異なると思います。
とにかく、それぐらい申告手続きが複雑というわけですが、青色申告を申請したからといって必ずしも青色申告する必要はありません。
青色申告が難しくて確定申告の期限に間に合わなかったり・所得が低かった場合は白色申告を選択することも可能です。
どの道、青色申告の申請をしてから青色申告ができるようになるのは早くて翌年からなので、とりあえず申請だけして 青色申告するか否かは それ以降に考えるでもOKです。
尚、当サイトでは簿記・会計知識がまったくない人でも青色申告ができる方法をまとめた記事も書いているのでよろしければこちらもご参照ください。
青色申告の申請時期
青色申告のメリット・デメリットの所でも話したように、青色申告をするためには申請が必要となります。
ここでは、青色申告の申請する前に知っておくべき、申請から青色申告が適用される時期について解説していきます。
青色申告の申請は3月15日までにおこなう必要がある
申請した翌年から青色申告したいという場合は3月15日までに申請をしなくてはいけません。
具体例を話すと2024年3月10日に申請した場合は、2025年(2024年度分の売り上げ)の確定申告から青白申告を適用させることができます
次に、2024年3月20日に申請した場合は、2024年度分(2025年の確定申告)は青色申告ができず、2025年度分(2026年の確定申告)から初めて青白申告が適用できるようになります。
申請すれば翌年から青色申告ができると思われがちですが 実はそうではなく、申請日が3月16日を過ぎてしまうと1年丸々 青色申告する機会の逃してしまいます。
確定申告の時期(2月16日~3月15日)は税務署が混むから、その時期が過ぎてから青色申告をしようと思っている方は要注意です。
もし、税務署に行くのが面倒という方は郵送や会計ソフト経由でも申請はできるので、必ず3月15日までに申請を済ませるようにしましょう。
3月15日を過ぎていても、開業日から2か月以内に申請すれば青色申告が認められる
先程、青色申告の申請は3月15日までと言いましたが、例外があり開業日(事業開始日)から2か月以内に申請すれば3月15日を過ぎても認められます。
仮に2024年4月10日に開業した場合、2024年6月10日までに申請すれば、2025年から2024年度分の青色申告ができるようになります。
このことから開業(事業を開始)したら できる限り早めに申請することをおすすめします。
開業届は開業から1か月~2か月以内の提出が必須と言われているが、2か月過ぎても問題ない
青白申告をするためには、青色申告申請以外に開業申請も同時におこなう必要があります。
開業申請には開業届の提出が必要となりますが、この開業届は原則的に開業日から1か月~2か月以内に提出しなければいけないと言われています。
では開業日から2か月以上経ってから開業届けを出しても受け付けれてくれないのか?と言うとそうでもなく、2か月以上経っていても基本的に開業届けは受理されます。
青色申告の申請とセットで考えると分かりやすいのですが、仮に開業日が2024年1月1日で 提出がかなり遅れて2024年9月1日に申請したとします。
その場合は青色申告が適用される年度が翌年の2025年度からとなり。2024年年度分は青白申告の対象外となります。
青色申告を審査する意味では2025年からが対象となるので、それ以前の2024年に何をしていたかというのは重要視されません。
このことから、今まで開業届を出さないまま放置していたという方も、今からでも遅くはないので青色申告を受けたいのであれば申請しておきましょう。
ただ、2か月以上過ぎてもOKとは言え、だいぶ前の開業日で提出すると税務署から問い合わせが来る可能性もあるので、できれば税務署へ直接行き 開業届が遅れた事情を話し 対応してもらうことをおすすめします。
青色申告の申請準備
ここでは、青色申告の申請にあたって必要なもの、各申請書類の記入方法・書き方を解説していきます。
申請に必要なもの
青色申告の申請に必要なものは以下となります。
マイナンバーカード
身分証明としてマイナンバーカードが必要となります。
マイナンバーカードがない場合は通知カードもしくは住民票と以下の身分証明書が必要となります。
通知カード or 住民票または住民票記載事項証明書
+
・運転免許証
・パスポート
・公的医医療保険の被保険者証
・在留カード などのいずれか1つ
上記以外にも本人確認できる書類はあるので、マイナンバーカードがない人は事前に税務署に確認することをおすすめします。
青色申告承認申請書
青色申告を受けるためには青色申告承認申請書の記入が必要となります。
税務署に直接行って申請する人は 現地で青色申告承認申請書をもらうことができるので用意しなくても構いません。
税務署に行かず郵送で済ませたい方は以下の国税庁ホームページのリンクから青色申告承認申請書を取得してください。
税務署に行く方も事前に記入しておけば手続きもスムーズにいくので、もし用意できるのであれば青色申告承認申請書を取得することをおすすめします。
尚、記入方法については後述する「青色申告承認申請書の記入方法」の項目にて解説していきます。
開業届
青色申告を受けるためには開業届の提出も必要となり、個人事業の開業・廃業等届出書の記入・提出が必要となります。
税務署に直接行って申請する人は 現地で開業届をもらうことができるので用意しなくても構いません。
税務署に行かず郵送で済ませたい方は以下の国税庁ホームページのリンクから開業届を取得してください。
税務署に行く方も事前に記入しておけば手続きもスムーズにいくので、もし用意できるのであれば開業届を取得することをおすすめします。
尚、記入方法については後述する「個人事業の開業届の記入方法」の項目にて解説していきます。
印鑑
上記の提出書類に押印するところはないので基本的に印鑑は不要ですが、書き直しの際に訂正印として使用する場合があるので税務署に行って申請する人は念のため所持しておいた方が良いです。
申請書類の記入方法・書き方
ここでは青色申告の申請に必要な青色申告承認申請書と個人事業の開業届の記入方法・書き方を記入例を交えて解説していきます。
青色申告承認申請書の記入方法
まず、青色申告承認申請書の記入例が以下となります。
次から各記入箇所を個別で解説していきます。
・提出する税務署
申請書を提出する税務署名を記載します。
・個人情報
自身の住所・氏名・連絡先・生年月日を記載します。
・職業
職業欄についてはUberEatsをはじめ出前館・Wolt・menuなどのフードデリバリー業務をメインでやっている人は「配送業」と記載し、屋号は空白で構いません。
職業名についてはサイトによっては名称が若干異なりますが大方意味があっていれば多少異なる名称でも構いません。
・青色申告を開始する年
「令和〇年分以後の所得税の申告は、青色申告書によりたいので申請します。」と記載されている箇所に入れる数字は基本的には提出する年と同じで構いません。
令和5年と記載した場合は、令和5年の事業の分から青色申告が適用されることになりますので、間違って翌年の数字を記載しないようにしましょう。
ただし、令和5年の3月16日以降に申請した場合は令和5年と記載しても、令和5年度分は適用されず令和6年度分からの適用となります。
(開業日によっては3月16日以降の申請でも その年の分から青色申告が適用されることがあるのでご注意ください)
・所得の種類
フードデリバリーの人は事業所得にチェックを入れます。
・過去の青色申告承認の取り消しについて
初めて青色申告の申請をする方は「無」にチェックで問題ありません。
・簿記方式
複式簿記にチェックを入れます。
その他の箇所にチェックを入れると65万円・55万円控除の対象外となってしまうのでご注意ください。
・備付帳簿名
65万円・55万円控除を受けるためには以下の箇所すべてにチェックを入れる必要があります。
「現金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」「預金出納帳」「総勘定元帳」「仕訳帳」
一つでもチェックが抜けると65万円・55万円控除対象外となるので、申請書を郵送される人は上記8箇所のチェックの漏れが無いようしっかりと確認しましょう。
個人事業の開業届の記入方法
まず、個人事業の開業届の記入例が以下となります。
こちらは上の記入例通りに記載してもらえればOKで、特に注意すべき点はないので詳しい説明は省略します。
青色申告承認申請書と異なるのが個人情報にマイナンバーカード番号が必要になることです。
青色申告の申請方法
ここでは各種必要書類等含む青白申告の申請書の提出方法を解説していきます。
税務署に直接行って申請
もっともポピュラーな申請方法であり確実に青色申告の申請ができる提出方法となります。
直接税務署に行くのであれば、現地で各種申請用紙は用意してくれるのでマイナンバーカードを持っていくだけでもOKです。
(用意できれば印鑑も)
ただし、あらかじめ青色申告承認申請書・開業届を印刷して記載しておければ現地でスムーズに手続きができるので、プリントアウトできる方は用意しておくことをおすすめします。
また、申請する税務署については、ご自身の納税地を管轄する税務署である必要があります。
自分の納税地とは、申請する年の1月1月に住民票に記載されている住所地となり、管轄する税務署は以下の国税庁ホームページで検索することができるので、分からない方はこちらをご参照ください。
税務署へ書類を郵送して申請
申請は税務署に行かずとも郵送で済ますことも可能です。
行く手間がかからない分、送料はすべて自分持ちとなりますが税務署の場所・申請する時期によっては 郵送手段の方が楽なケースもあります。
郵送する際に送る書類はマイナンバーカードのコピー(両面)・青色申告承認申請書(控えも含む)・開業届(控えも含む)となります。
そしてもう一つ忘れてはいけないのは切手を付けた返送用封筒です。
返送用封筒が必要な理由は、青色申告承認申請書と開業届の控えに税務署から受領印を押してもらう必要があるためです。
受領印がある開業届の控えは事業をしている証明となり、これがあることで融資を受けたり銀行口座を開設することができます。
フードデリバリー事業一本だとそれほど必要がない特典かとは思いますが、基本的に受領印がある控えは所持しておくべきなので返送用封筒の送付もお忘れなく。
尚、郵送する封筒の表面には「開業届出書等在中」と記載し、裏面にはご自身の住所・氏名の記載をお忘れなく。
そして、郵送先の税務署はどこでもいいわけではなく、自分の住所を管轄する税務署である必要があり、管轄の税務署が分からない場合は以下の国税庁ホームページからご確認ください。
弥生で申請
青色申告の申請は弥生が提供している起業・開業ナビでおこなうこともできます。
弥生の起業・開業ナビは画面に沿って操作するだけで開業届け等の必要書類を作れるサービスで、無料で使用することができます。
各質問に答える形式で入力していくだけで申請に必要な書類が作成できるので、簡単に申請することができます。
一点注意して欲しいのは弥生の起業・開業ナビで申請する場合でも、基本的には税務署へ各種書類を郵送する必要があります。
ただ、起業・開業ナビはしっかりと提出書類も分かりやすく教えてくれるので、書類不備が心配な方は起業・開業ナビで申請した方が良いかもしれません。
また、起業・開業ナビで青白申告の申請をするメリットは、そのままの流れで青白申告ができるという点です。
青色申告の作成方法は複雑であり簿記・会計の知識がない人は莫大な手間・時間がかかってしまうことが多々あります。
そうした手間や時間の浪費を無くすために最適なのが会計ソフトであり、これを使うことで簿記・会計知識がない人でも簡単に青色申告することができます。
本記事を見ている方はまだ青色申告の申請段階でしょうから、今すぐにどうするかを決める必要はありませんが、会計ソフトの登録は基本的に無料でできるので、迷ったら登録しておくことおすすめします。
最後に
今回はフードデリバリー業務をする人の向けに青色申告するために必要な申請方法を解説してきました。
とりあえず、青色申告の申請をするに越したことはないので、まずは申請して 青色申告するかどうかは その時に判断すれば良いかと思います。
特に日々フードデリバリー業務に奮闘し 多くの報酬を貰っている方は青色申告での特別控除は必須とも言えるので、申請がまだの方はいますぐにでも申請するようにしましょう。
それでは良い配達ライフを。
コメント