今回はUber Eats Japanから発表された、処方薬の配達サービスを日本全国で開始する件について解説していきます。
処方薬配達の詳細内容をはじめ、配達員にとって役立つ情報(署名のやり方・注意すべき点)などを紹介していきます。
処方薬 配達サービスとは
ここでは今回Uber Eats Japanから発表された処方薬 配達サービスの具体的な内容を解説していきます。
サービス内容
処方薬 配達サービスとはUber Eatsの配達パートナーが薬局から最短30分で処方薬を届ける即時配達サービスとなります。
処方薬を注文する側は各医療機関が提供しているオンライン診療などのオンラインサービス経由で注文する形となり、Uber Eatsアプリを使わずに注文することが可能です。
オンライン診療とは
スマートフォン・タブレット・PCのインターネットを介し ビデオ通話やチャットで予約・問診・診察・処方・決済までを行う診察・治療方法で、移動に要する出費・時間を節約することができます。
現状、オンライン診療が使える疾患の制限や初診では使用できない制限があるものの、逐次 新たなオンライン診療サービスが登場しており、今後の展開に期待のサービスでもあります。
この注文形態はいわゆる『Uber Direct(ウーバーダイレクト)』であり、すでにサービス提供されているマックデリバリーや7NOW(セブンナウ)と同様の仕組みとなります。
ただ、他のUber Directに比べ個人情報や安全性の配慮が重視されており、処方箋の内容は配達パートナーにわからないよう梱包し、荷物を受け取る際には受取人による署名を必須としています。
そして、現時点(2024年3月)での処方薬 配達サービスの提携パートナー企業は以下となります。
- ファーマシーシステム(東京都千代田区)
- 大賀薬局(福岡市)
- メドレー(東京都港区)
- アイメッド(東京都渋谷区)
まずは上記4社それぞれが提供しているオンラインのシステムを利用する薬局がサービス対象となり、対象となる具体的な薬局名については公表されていません。
開始日・開始エリア
Uber Eatsの処方薬配達サービスは、本件が発表された2024年3月28日の段階で 、東京都と福岡市の一部薬局を対象にサービスを開始しているとのことです。
発表当初の段階では東京都・福岡市の一部薬局のみの対象となっていますが、今後 各医療機関の準備が整い次第 順次サービスを開始するとのことで、ゆくゆくは全国展開となる予定です。
尚、提携パートナー企業の1社である『メドレー』は「47都道府県で1.2万店舗の調剤薬局でシステムを導入している」とのことで、そう遠くない日にも日本全国で処方薬配達サービスが展開されるのではないでしょうか。
注文者の配送料
まず、ここで解説する配送料とは利用者(注文者)側が支払う配送料金であって、配達パートナーが貰える報酬ではありません。
処方薬配達サービスの利用者が支払う料金については、導入企業側が決定するため 利用するサービスによってまちまちです。
すでに料金体系が公表されている『メドレー』の内容を紹介すると、配送元から2kmまでは全国一律で790円、2キロ以降は1kmごとに100円を追加するとのことです。
また、これは利用者には無関係ですが、Uber Eatsが請け負った配達件数に応じて UberEatsはサービス提携している企業から利用料を受け取るとのことです。
これらのことから、処方薬配達サービス利用において追加で支払う料金は配送料に留まらないと思われますが、現時点では配送料金以外の必要となるサービス手数料などは公表されていません。
もし、上記の配送料金だけで処方薬配達サービスを利用できるのであれば 利用者側からすればかなりリーズナブルなのではないでしょうか。
配達員視点の処方薬配達サービス
ここではUber Eatsの配達パートナーの視点に立って、処方薬配達サービスがどうなのかを解説していきます。
処方薬配達の特徴
ここでは配達する側(配達パートナー)から見た 処方薬配達の特徴を解説していきます。
配達する側から見た 処方薬配達の特徴は以下となります。
次から各特徴について詳しく解説していきます。
署名が必須
処方薬配達サービスは、注文者へ商品を渡す際に署名・サインが必須となります。
署名・サインについては配達パートナーのUber Driverアプリ画面上でおこなうものであり、特別何かを別途用意する必要はありません。
この署名については従来の配達ではなかった形式であり、具体的な操作方法は以下となります。
配達リクエストを受諾して、商品受け取り後の注文者情報画面にて「受取人の署名が必要です」とサインを受け取る旨のメモが表示されます。
このメモが表示された段階で署名が必要だということが分かります。
届け先に到着したら注文者情報画面内の「署名を依頼」をタップします。
アプリ画面上に表示された署名欄の箇所に、注文者のサインを記入してもらいます。
この際に注文者から「何て書けばいいですか?」と聞かれた場合は、「名前をローマ字で記入お願いします」と回答するのが無難かと。
あとは「配達を完了する」をタップして配達完了となります。
置き配禁止
処方薬配達サービスは、商品を直接 注文者へ受け渡す必要があり、置き配は禁止とされています。
また、処方薬を注文者に渡すことができなかった場合は 処方薬を受け取った店舗へ返却する必要があります。
もし、返却配送を行わなかった場合は商品代金及びその他費用をUberへ弁済するように求められる場合があるのでご注意ください。
従来の案件と同様に「10分経って注文者から応答がなかったから廃棄」ということだけはしないようにしてください。
もし、注文者と連絡が取れずに商品が届けられず店舗へ返却する場合は、Uberドライバーアプリ上の操作だけで対応することが可能です。
返送配送処理方法は、アプリ上の「ヘルプとサポート」の欄の『配車/配達サポート』をタップします。
上の画像は暗証番号案件のものとなりますが、サイン案件の時も上記の操作となります。
これ以降の操作については現在不明ですが、該当する項目を選択していけば自動的に返却処理を進めていけます。
Uber Eatsを名乗らない
処方薬配達サービスはUber Directサービスということで、注文者側からするとUber Eatsを利用しているという認識はありません。
このことから、商品を注文者に渡す場合はUber Eatsではなく 商品提供元である薬局名を名乗る必要があります。
他のUber Directの事例だと、マクドナルドのマックデリバリーやセブンイレブンの7NOW(セブンナウ)があり、これらも配達時も「ウーバーイーツです」ではなく「マックデリバリーです・セブンナウです」と名乗る必要があります。
くれぐれも 届け先で「ウーバーイーツです」と名乗らないよう ご注意ください。
処方薬配達のメリット・デメリット
ここでは処方薬配達開始によるUber Eats配達パートナーにとってのメリット・デメリットを紹介していきます。
メリット
配達品目の中に処方薬が追加されることで純粋にUber Eatsの配達量の総数が増え、それにより配達パートナーへの注文依頼が増えることになります。
仮に自分には処方薬の配達依頼が来ず他の配達パートナーに来たとしても、他の配達依頼が自分に回ってくる可能性がアップするので、結果的に配達依頼が以前よりも来やすくなります。
それと、処方薬自体の製品重量が軽く・料理のようにこぼれたり破損を気にする必要がないことから、処方薬配達依頼を受けた際の移動時の負担・ストレスが少ないこともメリットと言えます。
極稀に大量案件はあるかもしれませんが、それでも某コンビニ・某スーパーのような大量のペットボトルを運ぶということは まずないでしょう。
また、返送配送料金が別途支払われるのもメリットではないでしょうか。
処方薬は注文者に渡せなかった時は受け取り店舗に返却する仕様となっており、返送時には別途配達報酬が発生します。
返送処理になること自体が滅多にないことですが、それが発生したらしたらで補填があることから、注文者宅到着後に10分待つことも それほど苦にはならないのかと。
デメリット
デメリットは基本的にはないとも言えますが、強いて挙げるとすれば 処方薬の受け取りがスムーズにいかない可能性があるということでしょうか。
処方薬は市販されている医薬品とは違い 用意するまでに時間を要します。
また、調剤薬局などは店舗内が混雑することも多々あり、待ち時間が発生する可能性もあります。
オンライン注文の処方薬の用意を優先してくれるか・後回しにされるかで待ち時間も大きく変わるので現状は何とも言えませんが、普段から混んでいる調剤薬局のピックアップは避けるのが懸命かもしれません。
そして、もう一つ気になるのは「薬を病院や薬局などから患者宅に届ける」と報道された件です。
ポイントは「病院から」という部分で、それなりに規模が大きな病院からの配送となればピックアップに要する手間と時間がかかってしまうのではないでしょうか。
ただし、それなりの規模の病院であれば配達依頼で一目瞭然であり キャンセルするという選択肢もあるので、配達報酬と天秤にかけ判断していけば問題はないかと。
以上が処方薬配達のデメリットとなりますが、デメリットは基本的に「そうなるかもしれない」という憶測に過ぎないので、本当にこれらがデメリットになるかは本格的にサービスが開始しないと分からない部分でもあります。
配達員が準備すべきこと
注文者の署名が必要なUber Directのサービスということで、これまでの配達とは少々仕様が異なるわけですが、特にこれといって事前に準備しておく必要はありません。
強いて準備すべきこと言えば、スマホ画面を出来るだけに綺麗な状態にしておくことです。
ただ、処方薬の配達依頼自体がレアな可能性も高いので、常日頃から綺麗にしておく必要はなく、処方薬案件が来た時の署名直前にタオル等でスマホの液晶を拭いて ぱっと見 清潔な状態であればOKかと。
また、今後 処方薬案件が増えるようなことがあれば以下のようなスマホ用のタッチペンを用意すると良いかもしれません。
特に注文者に自分のスマホ画面を触れて欲しくないという人には必須アイテムかと。
今後の展望
処方薬配達サービスが開始したわけですが、現状は東京・福岡のみ展開であり 発展途上のサービスとも言えます。
展開エリアの拡充もそうですが、肝心なのはネット上で処方薬を注文でき自宅まで届けてくれるサービスがあるということを どれだけ世間に知ってもらえるかにかかっているかと。
いくら対応店舗が多かろうが、処方薬を注文してくれる患者がいないことには配達依頼も来ることはありません。
そういった意味でUber Eatsが処方薬配達を開始したという話題は、処方薬がネットで注文できることを知ってもらえるきっかけになったのではないかと。
処方薬配達に関連するオンライン診療自体が現状 様々な使用制限が設けられているものの、今後普及が見込まれるサービスでもあるので 将来性は期待できるのではないでしょうか。
スマートフォン・タブレット・PCのインターネットを介し ビデオ通話やチャットで予約・問診・診察・処方・決済までを行う診察・治療方法で、移動に要する出費・時間を節約することができます。
現状、オンライン診療が使える疾患の制限や初診では使用できない制限があるものの、逐次 様々なオンライン診療サービスが登場しており、今後の展開に期待されているサービスです。
最後に
今回はUber Eatsが全国で処方薬の配達サービスを開始する件について解説してきました。
本件はまだ開始したばかりのサービスということで、対応エリア・店舗ともに現状は少なく 配達依頼も滅多にお目にかかるものではないと思われます。
しかし、サービス内容としては非常に便利であり、普段Uber Eatsを使用しない層からの需要が見込まれ、今後の展開に期待が持てるサービスでもあります。
利用者拡充のためにも まずは処方薬配達サービスの存在自体を知ってもらうことが重要であり、本記事が少しでも処方薬配達の認知にお役に立てれば幸いです。
コメント