今回は2026年7月15日に発表された出前館の2026年8月期 第3四半期決算発表の内容について紹介していきます。
具体的な決算業績から、決算報告に関する各種情報、出前館の株価、現状出前館が抱える問題や将来性についての話題をお届けします。
出前館 2026年8月期の予想を下方修正

2026年7月15日に出前館から発表された決算業績によると、2026年8月期の連結最終損益が78億円の赤字になる見通しだと発表しました。
当初(2025年10月時点)は40億円の赤字と予想していましたが、結果的に従来予想から38億円の赤字拡大となりました。
尚、売上高は前期(2025年8月期)比1%減の392億円と、従来予想(441億)から49億円の下方修正しました。
上記内容はあくまで通期予想なので、2026年10月の決算発表で内容が修正される可能性もありますが、個人的には今回発表された内容よりも更に悪化する可能性が高いのかと…
決算報告内容

ここでは今回 出前館が公表した以下の半期決算短信・決算説明会資料を基に、各種報告内容を紹介していきます。
決算業績
ここでは2026年7月15日に出前館から発表された決算内容を過去の決算実績と比較しながら紹介していきます。
尚、本記事では 業績内容を分かりやすくするために 億単位(いずれも円)で表示し 小数点以下の数値は四捨五入し簡潔化しています。
※より詳しい数値を知りたい場合は出前館が公表している半期決算短信を ご確認ください。
そして、2024年から2026年の予想を含む通期実績の内容は以下となります。
| 決算期 | 2024年 通期実績 (2023年9月~2024年8月) | 2025年 通期実績 (2024年9月~2025年8月) | 2026年 通期実績(予想) (2025年9月~2026年8月) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 504億 | 397億 | 392億 |
| 営業益 | -60億 | -49億 | -79億 |
| 経常益 | -59億 | -50億 | -78億 |
| 最終益 | -37億 | -50億 | -78億 |
| 発表日 | 2024/10/11 | 2025/10/15 | 2026/7/15 |
このまま通期予想通りに8月を迎えた場合は、2026年通期実績は ここ数年で最も悪い業績となります。
尚、2026年通期実績の旧予想と新予想を比較した内容が以下となります。
| 決算期 | 2026年 通期実績(旧予想) (2025年9月~2026年8月) | 2026年通期実績(新予想) (2025年9月~2026年8月) |
|---|---|---|
| 売上高 | 441億 | 392億 |
| 営業益 | -40億 | -79億 |
| 経常益 | -40億 | -78億 |
| 最終益 | -40億 | -78億 |
| 発表日 | 2025/10/15 | 2026/7/15 |
旧予想の発表日は2025年10月15日となっていますが、2026年4月の中間決算発表の段階で通期実績を修正することもできました。
しかし、その時(2026年4月)は「2026年通期実績予想は変更なし」という強気の姿勢で、誰もが「えっ?修正無し」と思ったのではないでしょうか。
案の定、今回の発表で当初の予想よりも大幅に赤字が拡大することとなりました。
続いては直近3年の第3四半期(9月~5月)累計実績を見ていきます。
| 決算期 | 2024年 (2023年9月~2024年5月) | 2025年 (2024年9月~2025年5月) | 2026年 (2025年9月~2026年5月) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 381億 | 302億 | 293億 |
| 営業益 | -52億 | -31億 | -64億 |
| 経常益 | -50億 | -31億 | -63億 |
| 最終益 | -50億 | -31億 | -63億 |
| 発表日 | 2024/7/12 | 2025/7/15 | 2026/7/15 |
こちらも冒頭に紹介した通期実績と同様に2026年(2025年9月~2026年5月)の実績は ここ数年で最悪の業績となりました。
更に、直近約1年の3ヵ月業績の推移を見ていきます。
| 決算期 | 2025年3月~5月 | 2025年6月~8月 | 2025年9月~11月 | 2025年12月~ 2026年2月 | 2026年3月~5月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 92億 | 95億 | 90億 | 90億 | 103億 |
| 営業益 | -18億 | -18億 | -17億 | -15億 | -32億 |
| 経常益 | -18億 | -19億 | -17億 | -15億 | -31億 |
| 最終益 | -18億 | -18億 | -17億 | -15億 | -32億 |
| 発表日 | 2025/7/15 | 2025/10/15 | 2026/1/14 | 2026/4/14 | 2026/7/15 |
季節によって業績が変動することもあるので一概に比較は難しいとも言えます。
ただ、1年前の同じ時期(2025年3月~5月)との比較すると売上高は増えたにも関わらず赤字は拡大しているという本末転倒な展開になっており、今後の先行きに不安を感じざるを得ません。
こうした結果になってしまったのも、昨今 出前館が注力している店頭価格・送料無料の影響が大きいのではないでしょうか。
お店価格 参加店舗数
昨今の日本のフードデリバリーでの流行の1つとされている店頭価格(お店価格)に関する情報を紹介していきます。
今回の出前館決算説明会資料にて、出前館における お店価格参加店舗数の推移が公表されました。

2025年9月の地方5都市での実証検証を皮切りに、徐々に対象エリアを拡大し、2026年7月にはお店価格参加店舗数が23,000以上となっています。
上のグラフを見るに、お店価格参加店舗数は飛躍的に増加しており、このままいけば全加盟店(約10万店舗以上)のうち 3分の1は お店価格対応となる日も来るのかもしれません。
ただ、この資料を見て率直に「これはアピールするポイントじゃないだろ!」と思いました。
というのも、この お店価格こそ赤字の元凶であり、お店価格参加店舗が増えれば増える程 出前館にとってはマイナスでしかないと私は思っているからです。
お店価格と赤字の関係性については後述しますが、これを決算説明会資料に載せてアピールすること自体が今の出前館の駄目さを物語っているかもしれません…
オーダー数
ここでは出前館 決算説明会資料にて公表された出前館のオーダー数(注文数)について紹介していきます。
今回の出前館決算説明会資料にて、2025年9月~2026年5月のオーダー数が公表されました。

まず、YOY(YearOverYear)とは「前年比」のことで、それぞれの月の1年前と比較したオーダー数の割合となります。
前述した『お店価格 参加店舗数』のグラフで紹介したように、2026年3月からのお店価格全国展開のタイミングでオーダー数が上昇しています。

更に2026年4月からはお店価格対象店舗を拡充させ、CMなど販促活動も大々的に行い4月・5月はオーダー数が前年比110%と好調な数値となっています。
ただ、出前館としては「予想よりもオーダー数が伸びていない…」と感じているのではないでしょうか。
これは私の憶測となりますが、出前館は お店価格全国展開によってオーダー数は前年比で少なくとも150~200%ぐらいを期待していたのではないかと。
お店価格を導入した店舗は倍近くもしくはそれ以上にオーダー数が増えたのかもしれませんが、その反面 お店価格を導入していない店舗はオーダー数が落ち、結果的にオーダー数の伸びは鈍化したのではないでしょうか。
商品単価が安い注文は増えて、商品単価が高い注文が減ってしまっては本末転倒であり、お店価格は結果的に出前館の思惑通りの展開にならなかったのではないかと。
株価
出前館の決算発表と切っても切れない関係と言えば株価です。
その株価ですが、決算発表前の終値が124円で、発表翌日(16日)には一時114円まで下落し、早速 決算内容の影響を受けた模様です。

このまま110円台でのレンジもしくは下落トレンドに入るかと思われましたが、決算発表の翌々日の終値は124円と 決算発表前の株価に回復しました。

これはテクニカル的な上昇の可能性もあり、再び下落する可能性も十分にあり得るわけで、個人的な見解では いつ110円台に戻ってもおかしくない状況とも言えます。
ちなみに以下のグラフは出前館が上場してからの全期間の株価となりますが、今となっては上場直後とほぼ変わらない株価にまで落ちてしまっています…

再び2020年の時のように4,000円近くまでいくのはおろか、現状では200円越えも夢物語なのかと…
今後の出前館について
ここでは、今回の決算発表内容を踏まえ、出前館の今後の展開を私の憶測を交えて紹介していきます。
いつまで続ける?無駄な先行投資
お店価格が全国展開した時に出前館の社長はインタビューで「今は先行投資のフェーズです」と言っていたわけですが、お店価格提供が本当に先行投資になっているのかが甚だ疑問ではあります。
さすがに 先行投資発言は株主達を安心させるためのパフォーマンスだと思うのですが、本気で そう思っているのでああれば出前館の撤退もそう遠くない日に訪れるでしょう。
今回のお店価格提供が先行投資と言うのであれば、過去に開催したウルトラ半額祭などの割引セールもすべて先行投資になるわけで、出前館は半永久的に先行投資を続けていると言えます。
「今回のお店価格提供はフードデリバリー市場を拡大するため」とも発言していますが、正直 そんなことは他社にやらせておければいいわけで、出前館が身を削ってまでやるのは愚行です。
そもそも、ユーザー(注文者)からすれば特定のプラットフォーム(フードデリバリー会社)に対しての思い入れなんて皆無で、商品価格の安さや商品到着の早さなどで どこを利用するかを常時選定しています。
そう考えると、お店価格提供中は出前館を使ってもらっても、それが終わった瞬間にユーザーは別の安いフードデリバリーに鞍替えするわけで、結果的に金のばら撒きで終わってしまいます。
本当の先行投資とは、注文者がより使いやすい・分かりやすいUIの構築や商品をより早く届けるための配達システムの改善・強化ではないでしょうか。
そんな根本的に重要な施策を怠り、ずっと無駄な金のばら撒き(割引セール)ばかり続けてきた結果、赤字が当たり前の状況になってきたのかと。
いつまで資金は持つのか?
昨今 出前館は赤字続きで もはや赤字がデフォルトに感じるようになってしまったわけですが、赤字が続けば いずれ資金は尽きてしまいます。
出前館は2021年に Zホールディングス(現・LINEヤフー)とNAVERから約800億円の資金調達を受けたものの赤字続きで急速なペースで資産は減少しています。
出前館の純資産は2025年8月末には282億円ありましたが、2026年5月末の時点で223億円となっており、いよいよし資産の枯渇が見えてきました…
ここで重要となってくるのが、LINEヤフーが今後どう動いてくるかです。
まず、出前館はLINEヤフーと資本業務提携をしており、LINEヤフーの持分法適用関連会社となっています。
よく「出前館はLINEヤフーの子会社」という言う方もいますが それは間違いで、厳密には関連会社という扱いです。
LINEヤフーから見た出前館とは、完全な子会社ではないけれど、経営にそれなりに影響力を持っている立場であり、支配はできないが強い発言権を持つ関係となります。
このことからLINEヤフーの一存で出前館の存続は決めることはできません。
しかし、現状 資金面に関しては出前館だけではどうすることもできないわけで、今後の出前館の存続は関連会社であるLINEヤフー次第であり、実質 出前館はLINEヤフーの支配下にあると言えます。
LINEヤフーが再び資金調達をおこなうのか、もしくは出前館を見限って資金調達はしないかで今後の出前館の命運も変わってくるのではないでしょうか。
もし、資金調達がなければ、出前館の資産はもって後2~3年かと。
黒字化にするためにはどうすべきか
現状の出前館では黒字化することは自体は非現実的であり、まずは「如何に赤字を減らすか」を目指すべきであり、それを継続した上で最終的に黒字化を目指すのが現実的と言えます。
その「赤字を減らす」方法として、いち配達員が思うのは「お店価格の廃止」「配車システムの改善」「役員の総入れ替え」です。
まず、1つ目の「お店価格の廃止」に関しては、お店価格提供が昨今の赤字拡大の最大の原因であり、これを廃止しないことには永遠に赤字から脱却できないとも言えます。
出前館としては他社(特にロケットナウ)が店頭価格提供を止めない限りは 追随すると思うのですが、今の低価格路線こそが終わりの始まりでもあります。
当然、お店価格を止めれば売り上げは落ちてしまうわけですが、売上高を犠牲にしてでも 今の低価格路線から早く脱却する方が将来性があると言えます。
次に2つ目の「配車システムの改善」について、これは最優先でおこなうべきであり、今回紹介する方法の中では最も現実的で効果的な策だと思います。
出前館で配達したことがある人なら誰もが「やたらと遠い店舗の配達依頼(案件)ばかり来る」と感じているのではないでしょうか。
店舗から遠い配達員にばかり配達依頼を送った結果、誰も受諾せずに自然と配達報酬も上がり、注文者からすれば配達員がマッチングせずに遅延するという、出前館&注文者の双方が損をするという構図を作りだしています。
実際のところ、店舗の近くにいたのであれば 受けたい案件は多々あり、最初から近場の配達員へ配達依頼を送っていれば出前館側としても配達報酬を低く抑えることが可能です。
そんな自らの首を絞めている意味不明な配車システム(配達アルゴリズム)を改善するだけで、出前館の支出減少及び顧客サービスの向上が実現可能と言えます。
この致命的な欠陥を持ったシステム(仕様)を知らないのか 改善方法が分からないかは不明ですが、早急に改善すべき事項と言えます。
そして、最後の「役員の総入れ替え」ですが、そもそも昨今の赤字拡大を作り出した元凶は出前館役員であり、会社の中枢とも言える役員達の考えが変わらない限りは永遠に出前館の黒字化はないかと。
今更、役員の考え方が変わることなんて皆無でしょうし、そうなれば役員総入れ替えして組織を刷新するしかありません。
出前館の実情や現場を本当に理解している人が今の出前館には最も必要であり、そうした人物を役員にすることが出前館にとっての最善策とも言えます。
役員総入れ替えなんて夢のまた夢であり現実的な話ではありませんが、それぐらい出前館の黒字化も非現実的な状況に陥っているわけで、もう出前館は修復不可能な状況になっているのかしれません…
最後に
今回は2026年7月15日に発表された出前館の2026年8月期 第3四半期決算発表の内容についての話題を紹介してきました。
出前館については色々と言いたいことが山ほどあるわけですが、全てを書くと とんでもない量になるので、今回は控えめにしておきました。
そして、今回の決算発表で 出前館の撤退も現実味を帯びてきたわけで、今は出前館の瀬戸際かもしれません。
個人的には最近の配達は出前館がメインなので、このまま赤字続きで撤退されてしまっては非常に困ります。
そう思う反面で「こんなふざけた経営を続ければ、いつ撤退してもおかしくないよなー」とも思っており、複雑な心境でもあります。
次に大きな展開を見せるのは2026年10月の決算発表であり、そこでの業績内容 そして来期予想は要注目です。



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