今回は2025年8月から一部エリアで試験運用される固定報酬について解説していきます。
固定報酬の仕様をはじめ、固定報酬のメリット・デメリット、固定報酬で得する人・損する人などの配達員向けの情報を紹介していきます。
UberEats 固定報酬とは

ここでは新規導入予定のUberEatsの固定報酬の仕様について解説していきます。
基本的な仕組み
固定報酬とは、稼働時間に基づいてあらかじめ決まった金額で報酬が得られる UberEatsの新システムで、稼働予定の時間を事前に予約しておくことで利用できます。

実際に先行で試験運用したエリア(横浜・仙台)での固定報酬は以下となります。


上画像のように「稼働時間」あたりの金額があらかじめ提示され、その金額が配達リクエストを承諾してから配達が完了するまでの実際の稼働時間に応じて支払われます。
具体例として、稼働時間あたりの固定報酬が上画像のように2,550円であった場合は、配達リクエストを承諾してから配達完了まで30分かかった場合、報酬は1,275円となります。
また、稼働時間あたりの固定報酬については変動するということで上画像のようにエリア・時期・時間帯によって異なり、固定報酬の対象時間は約3時間単位となる模様です。
尚、注文者からのチップを受け取ったり 他のインセンティブ(クエスト)を獲得した場合の報酬も固定報酬とは別に追加で加算されます。
固定報酬で重要なのは、提示された金額が必ずしも取得できるわけではないことです。
提示された1時間あたりの金額は あくまでフル稼働して取得できる金額であり、稼働しない(注文を受諾していない待機時間)は報酬が発生しません。
つまり、1時間あたりの金額が2,550円だった場合はどんなに配達を頑張っても それ以上貰えることはなく、逆に稼働しない時間が発生した場合は2,550円よりも下回ってしまいます。
このことから提示された時給というのはフル稼働できた場合の最高時給ということになります。
予約方法
固定報酬はUberドライバーアプリ上の「機会」から予約することが可能で、稼働開始時間の24時間前から先着順での予約となります。
具体例として10月5日13時から開始する固定報酬は、10月4日13時から予約することができます。
先着順ということで予約可能枠に限りがあるため できるだけ早めに予約することが推奨されています。
また、予約枠に空きがある場合は、固定報酬の開始時間を過ぎても予約することが可能です。
尚、配達パートナーによって予約可能枠が異なる可能性があるとのことなので、配達員ごとに提示される日時が異なる模様です。
利用時の注意点
固定報酬を利用する際に以下の2点に注意する必要があります。
- リクエストの拒否・キャンセル
- 開始場所
まず、リクエストの拒否・キャンセルについてですが、固定報酬が適用されている間は1時間に1件まで配達リクエストの受諾拒否または 受諾後のキャンセル(受けキャン)することができます。
もし、1時間の間に 受諾拒否もしくは受けキャンを合わせて2回以上おこなった場合は固定報酬の適用が自動的に終了し、通常の配達ごとの報酬に戻ってしまいます。

このことから固定報酬を継続的に続けたい場合は 基本的には配達依頼の受諾拒否や受けキャンは禁止行為となりますが、仮に固定報酬が解除されても特にペナルティは発生しない模様です。
この仕様については配達員からは批判的な意見も見受けられますが、固定報酬の本質を考えると この仕様についてはまったく問題ないと思っています。
※その理由については後述します。
次に、開始場所についてですが、予約した固定報酬を有効にさせるためには 開始時刻までに自身の登録エリア内でオンライン状態にしている必要があります。
また、これは私の憶測となりますが、登録エリア内でオンライン状態で その場で受諾した注文であれば店舗・届け先がエリア外でも固定報酬の対象となるのかと。
また、上記仕様のことから、予約できる固定報酬は普段 自分が稼働しているエリアに限られる模様です。
この開始場所及び稼働エリアの細かい仕様については現状 公表されていないので 仕様が異なる可能性があることをご了承ください。
開始時期・開始エリア
固定報酬2025年8月4日より一部エリアにて試験的に運用開始予定となっております。
試験運用される一部エリアは現段階では横浜・仙台という情報が判明しています。
その他エリアでの試験運用については現状未定ということですが、本採用が確定したのであれば 今年中には全国で運用開始となるのではないでしょうか。
UberEatsが固定報酬を導入した理由とは

ここではUberEatsが固定報酬を導入した理由について、私の憶測を交えて紹介していきます。
高報酬を防ぐため
個人的にこれが固定報酬を導入する最大の目的かと思っているんですが、配達員に支払う報酬を極力減らすための対策ではないでしょうか。
UberEatsでは稀にマグロ・クジラと呼ばれる高報酬(高単価)の配達依頼が来ることがあり、これらがUberEatsにとっては無駄な出費となっているとも言えます。
高単価案件が発生する条件は定かではありませんが、配達員がなかなかマッチングしない熟成案件が多いとも言われ これがUberEatsのネックになっているのではないでしょうか。
最初から高額報酬にならないようUberEats側で調整すれば良いという話なんですが、アルゴリズム的にそれが出来ない何らかの事情があるのかと。
そして、固定報酬で稼働している配達員へ 高報酬となる案件を割り振ることで、この高単価問題を防げるのではないでしょうか。
UberEatsが新たに導入する仕様・システムは基本的にUberEats側に何らかの利益・メリットがあるわけで、配達員への無駄な出費を抑えるという目的で固定報酬を導入したということであれば腑に落ちます。
不人気案件の処理
これは一部のエリアに限られた話となりますが、UberEatsのみならずフードデリバリーには配達員が忌み嫌う不人気案件というのが存在します。
不人気案件とは、ピックアップ・ドロップに無駄に時間がかかる配達依頼で、商業施設内の店舗やタワマンなどが該当します。
こうした案件は配達員から敬遠されがちで、なかなか配達員がマッチングせずに熟成案件となってしまい、場合によってはこれらが高単価案件となってしまいます。
高単価になることもそうですが、配達員がなかなかマッチングしないということは注文者の不満の元となりサービス低下にも繋がるためUberEatsにとってはよろしくありません。
こうした、固定報酬の基本的に受諾拒否・受けキャン不可という仕様を生かして 不人気案件を優先的にあてがえば 自然と消化することができます。
配達員側としても、固定報酬時は効率良い案件を求める必要もなく 不人気案件でもなんでも問題ないので、Win-Winの関係とも言えるのではないでしょうか。
配達員の人材確保
昨今の報酬減・クエスト改悪によってアクティブな配達員が減少している傾向にあるので、そうした人達を呼び戻すための施策でもあるのかと。
提示する金額にもよりますが、先行で試験運用した横浜のように最高時給2,000円超えであれば配達員が殺到するのではないでしょうか。
固定報酬はUberEats側でエリア・時間を決めることが可能であり、配達員不足が予想されるエリア・時間にあてがうことも容易かと。
また、これは一時的な効果かもしれませんが固定報酬という話題性でUberEats配達を再開しようとする人も一定数いるのではないでしょうか。
いずれにせよ、固定報酬をやったからといって配達員が減るということは考えにくく、配達員不足が多少は解消されるかと。
UberEatsの固定報酬のメリット・デメリット

ここでは私が思う、固定報酬の配達員にとってのメリット・デメリットを紹介していきます。
メリット
固定報酬の一番のメリットは配達効率を意識しなくて良いことです。
通常の配達はテンポ良く配達することが重要で、そのためにも配達効率を重視する必要があります。
特に昨今のUberEatsは調整金の改悪もあり、ピックアップ先・ドロップ先の選別も非常に重要となっています。
そうした配達効率アップのための各種作業も、固定報酬であれば一切意識する必要はありません。
ピックアップ先への場所が分からなくて迷おうが・調理待ちで何分待とうが・ドロップ先で無駄に時間がかかろうが配達時給には一切影響ありません。
むしろ、配達が非効率化こそ固定報酬稼働にはもってこいと言えます。
唯一心配なのは、いざ固定報酬で稼働したものの配達依頼が来ない… という事象ですが、これについては以下のUberEatsの通知文を見る限り その心配もなさそうです。
固定報酬の適用時に、効率的に稼働いただくよう、十分な配達リクエストが届く仕組みになっています。
先行で試験運用を開始した配達員の情報によるとアプリ上にも以下の文面が記載されているとのことです。

UberEatsからの情報を鵜呑みにするのは危険ではありますが、上記通りの内容であれば通常配達よりも固定報酬の方が優先的に配達依頼が割り振られる可能性が高いのかと。
こうしたことから、配達効率を求めることにつかれた人は固定報酬稼働で一息つけてみてはいかがでしょうか。
デメリット
固定報酬のデメリットは以下となります
- 時給が保証されていない
- 商品量が増える可能性が高い
- クエストとの相性が悪い
「時給が保証されていない」については『基本的な仕組み』で話ように、提示される1時間あたりの報酬はあくまでフル稼働した時の金額であって、稼働しなければ報酬は発生しないことです。
配達が完了する前に追加リクエスト通知が来れば良いのですが、リクエスト通知が来なければ その分 時給がどんどん減っていくことになります。
ついつい提示された時給が貰えると思われがちなので、それを考慮した上で固定報酬を受けるかどうか判断すべきかと。
「商品量が増える可能性が高い」については、固定報酬をやることでダブル・トリプル案件を実施する可能性が高くなります。
昨今の配達リクエストを見ているとシングルで受諾しても その後間髪入れずに追加リクエストが来て 結果的にダブル・トリプルになることが多々あります。
通常配達であれば 受諾しなければ済む話ですが、固定報酬は基本的にキャンセルできないので 受諾しなくてはいけません。
特に都心部などの注文が多いエリアであれば、シングルで受諾してもすぐに追いリクエストが入ってダブル・トリプルは確定なのではないでしょうか。
ダブル・トリプルとなれば運ぶ商品量も増えるわけで、普段シングル案件しかしない人にとっては結構しんどく感じるかもしれません。
普段から小さい配達バッグでシングルばかりやっている人は、固定報酬をやりたいのであれば大きめのバッグに買い替えた方が良いかもしれません。
尚、配達バッグに関しては以下の記事にて紹介しているので、デリバリーバッグの新規購入を検討している方はご参照ください。
「クエストとの相性が悪い」については、『メリット』の所でも言ったように固定報酬は非効率な配達をしてなんぼのところがあることから配達件数を稼ぐには向いていません。
固定報酬でも効率的にやれば配達件数を稼ぐことも可能ですが、肝心のリクエスト選別が実質できなくなる(基本キャンセルできない)ので、より短時間で配達件数を増やすことが難しくなります。
こうしたことからクエスト達成を最優先にするのであれば固定報酬よりも通常配達で効率良く立ち回る方が賢いと言えます。
UberEatsの固定報酬で得する人・損する人

固定報酬はずる賢い人ほど得をして、真面目な人ほど損するシステムだと思っています。
前述したように固定報酬は指定された稼働時間内に何件配達しようが報酬は同じであり、極論を言うのであれば1件の配達に稼働時間をフルに使うことが望ましいと言えます。
仮に私が固定報酬をやったのであれば、1件1件を注文者に迷惑がかからず且つUberEatsに目を付けられない程度にギリギリまで配達を引き伸ばします。
当然、意味なく特定の場所に留まるなどの故意的な遅延行為はしませんが、とにかくサービスよりも自分の身の安全を最優先にして安全運転で移動するよう心がけます。
稼働している間の時給が保証されている以上 焦って自身の危険度を上げることは無意味であり、安全運転することは当然の行為と言えます。
そういった意味では、真面目な人には固定報酬システムの相性は悪いと言えます。
まったく同じ案件を 一生懸命頑張って15分で配達しようが、不真面目にやって30分で配達しようが時給は同じなわけで、むしろ それ以降 案件がこなければ 不真面目な方が報酬が多いということになります。
固定報酬の仕様を理解していれば 注文者最優先で一生懸命配達することが無意味だと気づくとは思いますが、普段から真面目に配達している人は いつもの癖が抜けなくてついつい全力で配達するなんてことはあるかもしれません。
そして、そうした真面目な人も人も固定報酬を続けていくうちに一生懸命配達することが無駄だと感じ、固定報酬時はだらだら配達するスタイルに自然と変わるのではないでしょうか。
それと、もう1つ固定報酬で得する人・損する人の事例を挙げると、副業は得して専業は損するとも言えるのではないでしょうか。
『デメリット』でも話したように固定報酬はクエストとは相性が悪い仕様でもあり、クエスト回数を求めるであろう専業勢には不向きなシステムとも言えます。
特に昨今のUberEatsの週クエストの仕様は専業が優遇されていると言えるぐらいの回数が設定されており、より多くの配達件数をこなせる人ほどクエスト報酬の恩恵が多くなっています。
副業勢も週クエストを完クリ(全部達成)すれば高報酬を貰えるんですが、毎週やたらと高い目標回数が設定されるため 大半の人は完クリをあきらめています。
こうした昨今の事情を考慮すると、クエスト回数 度外視の副業勢の方が固定報酬は向いていると言えるのではないでしょうか。
UberEatsの固定報酬で懸念されること

固定報酬で最も心配することは、UberEatsの更なるサービス低下です。
前述したように、固定報酬の仕様を考えれば真面目に一生懸命配達することがばかばかしいわけで、注文者へのサービスなんて度外視する配達員が増えるのではないでしょうか。
現状ですら、UberEatsの低単価にうんざりして、 最低時給1,260円(1分21円)を知った上で 配達時間を故意的に伸ばして1分21円分の稼働単価で満足している配達員がいると言われています。
そんな状況で、時給が現状の最低時給1,260円よりも高い金額とあらば そうした配達員は固定報酬稼働をするでしょうし、当然 故意的な遅延も積極的にやっていくでしょう。
そうなれば今以上に配達遅延が発生し、注文者の満足度が下がることも予想されます。
注文者のUberEatsへの満足度が下がれば、UberEatsの利用者が減り、ゆくゆくは注文数が減り 配達員への注文依頼も減ってしまいます。
ただ、固定報酬は悪いことばかりではなく、これまでマッチングしにくかった商業施設内の店舗やタワマンなどの配達員が敬遠する案件も 従来よりもマッチングしやすくなるというメリットがあります。
こうした普段からマッチングしにくい店舗で注文したり・ドロップが面倒くさい住居に住んでいる注文者からの満足度は向上する可能性は大いにあります。
しかし、そうしたメリットは微々たるもので 結局のところ全体的なサービス低下の影響の方が遥かに大きく 固定報酬を機に注文者の更なるUberEats離れが加速するかもしれません。
最後に
今回は2025年8月から一部エリアで試験的に導入される固定報酬の予約機能について解説してきました。
現状、試験運用ということで本当に正式導入するかは定かではありません。
ただ、これまでUberEatsが新システムを導入してきた経緯を考えると、いずれも試験運用した時点で採用も同然であり 固定報酬が導入されるのも ほぼ確定なのではないでしょうか。
私自身、自分が稼働するエリアで固定報酬が開始したら、積極的に予約して 普段とは真逆の配達効率完全無視スタイルで何も考えず配達していこうと思っています(笑)

コメント
コメント一覧 (3件)
原付なら時速30kmで道交法完全遵守、黄色信号で止まり、すり抜けなど論外。スマホ操作もいちいち安全に停止してから。
…絶対uberの意図とは違うでしょうけど、そういう稼働に憧れますね 笑
まあ、固定報酬を名乗るなら、アイドリング時間も保障しないとですし、また、せめて、所要時間×固定報酬と通常報酬の高い方にしないとおかしいですね。
>>あ さん
コメントありがとうございます。
固定報酬なら安全運転は最優先事項になりますね(笑)
ついでに移動も普段使用しない道を積極的に使うかもしれません。
当然、故意的な遠回りはしませんが、今後の配達効率化のために新ルート探しに活用させてもらいます(笑)
それと、こちらは車両周りの費用もそうですが服装・バッグすべて自前で用意しているわけで、それらを加味した上での金額でないと意味ないですよね。
稼働するエリアにもよるかもしれませんが、東京エリアだと1時間あたり1,800円を超えないと厳しいかと…