今回は、2025年6月18日から適用されるUber Eats(ウーバーイーツ)の利用規約改定について解説していきます。
利用規約改定によって「店舗での待機時間の変更」「受けキャン禁止・廃止の前兆?」など 気になる点についても詳しく解説していきます。
利用規約改定の概要

Uber Eatsから配達パートナー向けの利用規約(Uber 技術サービス契約)の改定を2025年6月18日から施行すると発表がありました。
まずは その規約改定の概要を紹介していきます。
※具体的な改定内容については次の『利用規約改定の具体内容』で詳しく解説していきます。
2025年6月18日以降の利用規約(Uber 技術サービス契約)については以下のUber 公式ページにて公開されています。
利用規約改定の具体内容

ここでは利用規約(Uber 技術サービス契約)改定により具体的にどう変わるのかを解説していきます。
【第1.7条】注文以外の商品配送について
ここでは、注文以外の商品配送に関する利用規約「第1.7条」の変更内容について解説していきます。
まずはUberからの改定に関する【通知内容】と その改定された【規約文】(一部抜粋)を見ていきます。
【通知内容】「配送サービス」の対象は、正規の方法で注文した商品に限られる旨明確化しました。
例えば、Uber Eats の配送時に、Uber Eats 上において正規の方法で注文された商品以外の商品を配送することは利用規約違反となりますのでお控えください。
【規約文】 「配送サービス」とは、貴殿が独立した契約者として、プロバイダー用アプリを介して、該当する輸送手段を用いて対象地域内で、ユーザーがマーチャントから正規の方法で注文した食品又はその他の物品についてピッキング、包装、支払い、配送の全て又はいずれか、及び/又はUberが指定した場所への物品の運搬を行う行為をいう。
この規約改定については、2025年5月頃にUberEatsから注文者へ通達があったおつかい依頼の禁止に関する内容となります。
おつかい依頼とは、注文者(顧客)が配達パートナー(配達員)へ 注文商品以外の物を別途買ってきて欲しいと個別に依頼する行為のことで、以前から配達員の悩みの種となっている事象でもありました。
今回の規約改定から、具体的に「正規の方法で注文した食品又はその他の物品」と明記されたことにより、注文者が配達員に注文以外の商品の購入を個別に依頼することが正式に禁止となります。
これによって配達員側も注文者からおつかいをお願いされても「そうした依頼はUberEatsの規約に反する内容なので お受けできません」と胸を張って断れるようになりました。
おつかいを依頼してくる注文者はごくごく一部ではありますが、こうした非常識な人のせいで迷惑をこうむることもなくなると思うと 今回の規約変更は良改定と言えます。
尚、UberEatsからのおつかい依頼の禁止に関する通達について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
【第2.1条】重複アカウントについて
ここでは、重複アカウントに関する利用規約「第2.1条」の変更内容について解説していきます。
まずはUberからの改定に関する【通知内容】と その改定された【規約文】(一部抜粋)を見ていきます。
【通知内容】 不正な重複アカウントの作成がアカウント停止等の事由になる旨明確化しました。
【規約抜粋】Uber、Eats JP及び/又はそれぞれの関連会社は、貴殿が、虚偽情報の登録、第三者とのアカウント共有、不正な重複アカウントの作成その他プロバイダID又はプロバイダー用アプリの不正な利用を行ったと合理的に判断した場合、貴殿のアカウントの永久停止、配送料の支払い停止その他合理的な措置を講じることができる。
この規約改定については、昨今問題となっているアカウント不正譲渡・取得を意識するものかと思われます。
2025年5月に同じフードデリバリー会社である出前館にて、配達員アカウントの不正利用により逮捕者が出たという事案が報道されました。
この出前館の一連の報道で、フードデリバリー他社もアカウント不正利用については目を光らせていることでしょうし、それもあって今回の規約改定に繋がったのではないでしょうか。
そして、本題に入りますが、今回UberEatsが改定したのは アカウントを複数作成する行為も禁止事項として盛り込んだことです。
そもそもこれまで1人の名義で複数のアカウントが作成できていたことに驚いており、そんな簡単に重複アカウントが可能だったのか疑問でもあります。
もしかしたら、異なるメールアドレス・電話番号且つ登録した時とは異なる身分証明書を提示することで同一名義の複数アカウントが作成できていたのかもしれません。
とにかく、アカウントに関する疑わしき行為を罰するに越したことはないので、当然の規約改定と言えるのではないでしょうか。

【第2.2条】店舗での待機時間について
ここでは、配達中の行動に関する利用規約「第2.2条」の変更内容について解説していきます。
まずはUberからの改定に関する【通知内容】と その改定された【規約文】(一部抜粋)を見ていきます。
【通知内容】 配送サービスにおいて、ピックアップ地点で最低限お待ちいただく時間を10分と定めました。旧契約で定めていた12分から短縮しております。
【規約抜粋】
Uberアプリについてユーザーの満足度を向上させるために、貴殿は、建物内の荷物の集荷・引渡地点の詳細など集荷・引渡に関する情報を遵守すること、及びユーザー又は配送受取人が希望の集荷・引渡地点に現れない場合には必ず一度は受取人にプロバイダー用アプリを介してコンタクトを試みること、また、当該集荷地点で少なくとも十(10)分、引渡地点で少なくとも十二(12)分は待機する旨、同意する。
最初にUberEatsの【通知内容】と見たときはピックアップ地点(店舗)ではなくてドロップ地点(注文者宅)の書き間違いかと思いました。
そもそも、UberEatsは商品受け取り前の状態であれば 配達員は受諾した注文を簡単にキャンセルできるので、店舗で最低限待つ時間の概念自体ないと言えます。
その後、【規約】を読んでみると、書き間違いではないことが分かったわけですが、元々「ピックアップ先(店舗)で12分は最低限待つ」という規約があったとことに驚いています。
規約改定したということは何らかの理由があるわけですが、考えられるのは少し前(2025年4月)から適用された「配達リクエストの再依頼システム」の影響です。
配達リクエストの再依頼システムとは、簡潔に言うと 配達員が配達リクエストを受諾した後にピックアップ場所(店舗)への移動が確認できない場合 強制的にキャンセルされ別の配達員へ配達リクエストが依頼されてしまうことです。
このシステムは配達員が故意的に遅延を発生させ調整金を不正に取得することを防止策であり、これが今回の規約改定に影響したと思いました。
ただ、配達の強制キャンセルは店舗に到着する時間が遅れた場合であり、本規約は店舗到着後の内容であり 関係がないようにも見えます。
こうした内容を踏まえると この店舗での待機時間の規約改定については配達員向けというよりも店舗側向けの内容にも思えます。
と言うのも、配達員の最低限待機すべき時間を超過した場合は調整金が付与され、その調整金の原因を店舗側に責任転嫁するための規約とも捉えられます。
もし、配達員到着から10分経過しても調理が完了しない場合は 店舗側へのペナルティ(UberEatsへ支払う手数料増)が科せられてしまうのではないでしょうか。
店舗側とUberEatsの契約内容は分かりませんが、一説では店舗の調理が遅いとペナルティが課せられると言われており、このペナルティ発生のハードルを依然よりも厳しくしたのかと。
配達員が店舗で長時間待機すれば 配達員側に調整金が発生し、それを支払うのはUberEats側なので 店舗側にもリスクを負ってもらうのは当然と言えば当然ではあります。
ただ、昨今 配達員の調整金も改悪されており 10分程度調理待ちしたぐらいでは調整金が付かないこともざらで UberEatsだけが単独で得するようにも思えますが…
【第2.7条】業務上の災害の防止について
ここでは、配達に使用する車両に関する利用規約「第2.7条」の変更内容について解説していきます。
まずはUberからの改定に関する【通知内容】を見ていきます。
【通知内容】 業務上の災害の防止の観点から、初回の配送サービスを行う前に、交通安全研修を受けて確認テストに合格していただく必要があることや、個別の配送サービスを受ける前提として、Uberが随時指定する研修の受講や確認テストの合格が必要となる場合がある旨、追記致しました。
なお、この規定は、令和7年3月31日付の厚生労働省の通達「注文者・事業者等が安全衛生上の指示等を行う場合における留意事項(労働基準法上の労働者性、いわゆる偽装請負との関係)について」(基監発0331第1号、基安計発 0331第1号、職需発0331第1号)3、(6)、ア、(ア)の趣旨に沿って設けたものです。
【規約抜粋】
貴殿は、初回の配送サービスを提供する前に、Eats JPが業務上の災害を防止する観点から指定する交通安全に関する研修を受け、確認テストに合格しなければならない。
貴殿がかかる前提条件を満たさない場合、貴殿はプロバイダー用アプリを通じてEats JPから配送サービスの依頼を受け付けることができないものとする。
また、貴殿は、個別の配送サービス契約の締結の前提条件として、Eats JPが業務上の災害を防止する観点から随時指定する研修の受講及び/又は確認テストの合格を求められる場合があることを確認し、これらを受講、完了することに同意する。
この規約変更については長文となりましたが、簡潔にまとめると今後 配達パートナーに登録する人は 研修や確認テストを受けてもらう必要があるかもしれません という内容になります。
また、すでに配達業務をしている配達パートナーに関しても研修や確認テストを受けてもらう必要があるかもしれないということです。
仮に研修・確認テストの指示が出た場合は それらを受講・合格しない限りは配達依頼を受けられない(配達業務ができない)ということで、アカウント不正利用対策の一環なのではないでしょうか。
どういった条件で研修・確認テストの対象者になるのかは不明ですが、できれば研修・確認テストは避けたいところです。
ただ、研修とはいっても、どこかへ赴いて受講するのではなく オンライン上での実施となり それほど手間はかからないでしょうから、特別心配する必要はないかと。
【第9.3条】プライバシー管理について
ここでは、プライバシー管理に関する利用規約「第9.3条」の変更内容について解説していきます。
まずはUberからの改定に関する【通知内容】と その改定された【規約文】(一部抜粋)を見ていきます。
【通知内容】 プライバシー通知のリンクを改定しました。
【規約抜粋】Uber、Eats JP及びそれぞれの関連会社は、 https://www.uber.com/global/ja/privacy-notice-drivers-delivery-people/?uclick_id=c8404036-3ff0-44cb-8889-f80eb85904a2 に掲げるプライバシー通知(これはUberにより随時更新される。)で定めるところに従い、貴殿の個人情報を収集し、利用する。
この規約改定については、Uberの各配達パートナーの個人情報保護方針についての内容となります。
昨今何かと問題となっている企業の個人情報に関する内容であり重要ではあるんですが、配達業務をしている段階でこの規約に同意しているわけで、こればっかしはUberを信じるしかありません。
Uberの個人情報保護方針について気になる方は、上記【規約抜粋】のURLリンクをクリックして ご確認ください。
規約変更の素朴な疑問

ここでは今回の利用規約改定発表により配達員界隈で噂されている意見・憶測に関して、私なりの回答を紹介していきます。
廃棄タイマーの時間が短くなる?
この「廃棄タイマーの時間が短くなる?」というのは【第2.2条】店舗での待機時間の規約に記載されている内容から生まれた誤解となります。
規約内容の「旧契約で定めていた12分が10分に短縮される」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは廃棄タイマー時間の変更であり、私も最初この規約を見たときは廃棄タイマー時間のことだと思いました。
しかし、12分が10分に短縮されるのは店舗での最低待機時間の話であり、ドロップ先に到着してからの廃棄タイマー時間は従来の12分間が継続されます。
そもそも店舗での最低待機時間が設定されていたことが初耳であり、それを変更したところで これまでと何か変わるのかは疑問ではあります。
配達員の多くは普段から廃棄タイマー時間の短縮を望んでいただけに、今回の規約改定で変に期待してしまった人も多いのではないでしょうか。
受けキャンができなくなる?
これも【第2.2条】店舗での待機時間から発生した憶測であり、この規約は受けキャン禁止・廃止の前兆ではないかとも言われています。
そういわれる根拠は規約内の「当該集荷地点で少なくとも十(10)分、引渡地点で少なくとも十二(12)分は待機する旨、同意する。」の部分です。
この「少なくとも」という文言が「最低限 守れよ」と捉えることもでき 強要しているかにも思えてしまいます。
また、昨今 ダブル・トリプル案件の解体が話題となっているタイミングでの規約改定ということもあり、「解体の防止策として受けキャン自体を容易にさせないようにしたのでは?」という憶測もあります。
今のところは受けキャン機能に関するアナウンスはないので、当面は受けキャンが禁止・廃止になることはありませんが、近い将来 何かしらのシステム変更が入るのかもしれません。
利用規約改定後の対応

ここでは、今回発表された利用規約改定により今後Uber Eats配達はどう変わるのか? 配達パートナーはどう振舞うべきなのか?について解説していきます。
解体(受けキャン)は ほどほどに
今回の規約改定がダブル・トリプルの解体防止を意識した内容であったとすると、今後は安易に解体・受けキャンすることは控えめにした方が良いかもしれません。
最近のUberEatsの仕様ではダブル・トリプルを解体することで、より効率的に稼げるという情報が配達員界隈では拡がっており これらを真似する配達員も少なくありません。
より効率的なダブル・トリプル解体方法についての詳細内容については本記事では省略しますが、この効率的に稼ぐ方法は 以前問題となった調整金詐欺と類似しています。
調整金詐欺は厳密には詐欺ではないんですが、UberEatsの配達システムを悪用した手法であり その行為自体は常識を逸しており詐欺と同等の扱いを受けてもおかしくないと言えます。
こうしたUberEatsが意図していないところで追加報酬が発生する事案については、Uber側も何かしら対策してくるわけで 今回の規約改定も その対策の前兆なのかもしれません。
現状、受けキャンしたところで何かペナルティが発生するわけでないので、受けキャンをすることのデメリットは無いと思います。
しかし、このまま受けキャン率が高い状態が続くと UberEatsも黙っていないでしょうし そのうち何かしらのシステム変更を実施するかもしれません。
これらのことから、微弱な効果しかないかもしれませんが、これからは 解体を前提としたダブル・トリプルは極力受諾しないようにして 受けキャン率を減らした方が良いかもしれません。
もしかすると受けキャン率が低い配達員は今後 好待遇を受けれるなんてこともあるかもしれません。
たぶん、そんな都合が良いことはないと思いますが、気休め程度に意識しても良いかと…
最後に
今回は2025年6月18日から施行されるUber Eatsの利用規約改定について解説していきました。
結論として、今回の規約改定で何かが大きく変わるわけではありません。
しかし、規約を改定するということは何かの理由があってのことでしょうし、近いうちに何らかの発表があるかもしれません。
とりあえずは、現状と変わらぬまま配達を続け 今後のUberEatsの進展を注視したいところです。
それでは良い配達ライフを。

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